この度、平成25年度被災障害者就労支援事業所等復興支援体制づくり事業の一環として、『第十二回被災障害者就労支援事業所連絡会議』を5月24日(金)に開催しました。
この会議は、宮城県内で建屋の損壊等特に直接的被害が大きかった、若しくは沿岸部等、特に被害の大きかった地域に所在する生産活動を伴う事業所を対象として、情報交換による互いの状況把握と、それに関しての相談、アドバイスの場を設ける事で、新たな問題解決の糸口発見や協働での作業づくり等相乗効果が期待できると考え、震災の影響を強く受けている事業所の集まりを作る事で、何らかの支援をしたいと考えている法人や団体、有識者を迎え、作業の提案や商品販売ルート開拓、場合によっては事業所運営のヒントを得る事を目的としております。
第十二回目は、場所を東松島市コミュニティセンターとして、大変お忙しい中8事業所9名の方にご参加いただきまして開催致しました。
【参加者】
(社福)嶋福祉会 さくらんぼ 山崎施設長
(社福)洗心会 のぞみ福祉作業所 森主任
(社福)洗心会 南三陸町地域活動支援センター 風の里 熊谷主任
(社福)洗心会 ワークショップふれあい 三浦施設長
(社福)円 まどか 塚原生活支援員
(社福)円 まどか 毛利生活支援員
NPO法人みどり会 みどり工房若林 今野施設長
NPO法人輝やくなかまチャレンジ こころ・さをり 熊井センター長
NPO法人きらら女川 松原施設長
第十二回目の会議の内容は、現在の活動内容と今までの案件の進捗状況、現在の一番の問題点等を中心にお話ししていただきました。
【震災から2年、それぞれの一歩】
震災から2年と2か月。新しい年度になり、職員の移動や新しい利用者への対応も少しは落ち着かれた時期でしょうか、今回もお忙しい中、たくさんの方々にお集まりいただきました。忙しい年度末には参加できなかった方、そして、震災後2年以上たったこの時期に初めて参加された方もおりました。
今回、初参加だったのは「きらら女川」さん。女川町で初めて出来た事業所であり、事業拡大の為に改修工事を行い、引っ越しを行う予定のその日にあの大震災が起こりました。今まで活動していた場所、そして引っ越す予定だった場所すべてを津波で失い、そして、利用者のうち二人はいまだに行方不明です。一時は鳥取県に拠点を移しましたが、やはり女川町での再建を希望し、土地も建物も自分たちの力で工面しました。女川町はその地形もあり土地がない。震災後、町からの土地の提供の話は無く、他の支援団体にもお願いしたが、手応えはなかなか掴めなかったようです。震災があった夏、県外きたボランティアの方の何気ない一言。「他の被災した福祉事業所は仮設のプレハブでも復旧出来ているのに、なぜきらら女川は出来ないの?なぜしないの?」
今回の大震災における被害は甚大で、広域にわたっています。地域によって土地の形状も被災状況もまったく異なります。また、それぞれ行政の対応も違います。当時の女川町は、障害者だけではなく高齢者も子供も、一般の方さえ住む場所が無い状態でした。行政に発言する機会を得たのは震災後1年過ぎた後でした。その後も何回もの協議が行われ、一時期は町で整備したプレハブに入り活動しましたが、その土地が道路に使われることが判明し、早々に立ち退きを言い渡されました。町の復興計画を待つこともできたが、自分で土地を探そうと決めたのです。その後、ご自身の努力で再建までこぎつけ、現在建設中との事です。でも、支払いの不安に襲われ眠れぬ夜が続いたのもの事実です。震災から2年以上経った今、この連絡会議に初めて参加して、同じような悩みを抱えていた人たちがいた事実に初めて気づき、仲間が出来たようでうれしいと語ってくれました。
また、他の事業所は、行政の復興計画に入っているが、現在仮設の建物で活動している土地に、病院が建設されることが決まりました。という事は、この土地から移動しなければいけないという問題が浮上してきました。支援団体の助成で立てて貰った仮設の建物を取り壊さなければならない。一時移転先として提案された場所は、水の出ない土地であり、今まで順調に行ってきた「紙漉き」の作業もできなくなる。解体は容易でも再建するにはまた数か月かかる。その間の活動場所は?この場所と建物で、復興計画の中で再建される新しい事業所を待てば良いと思っていたが、そうではないのかもしれない。新たな問題がまた出てきているようです。
建物を再建するには、まず土地が必要です。津波被害を受けた場所での再建は誰も望まないはずです。おのずと再建可能な土地は狭くなります。限られた土地、限られた自己資金。まだまた、先が見えない中で、仮設という限られたスペースの中での活動しかできていない事業所はまだまだあります。
この会議の初回から、欠かさず参加していただいていた方が、卒業することになりました。海に近い事業所で職員として働き、震災を経験し、震災後1年5か月を仮設で活動し、いち早く復興を果たした事業所の方でした。この会議がはじめるころには、既に復興への道筋が見えていたにも関わらず、「被災した事業所の仲間」として同じ気持ちを共有していただき、未来が見える状況の素晴らしさと復興への新たな問題を報告しながら、他のみなさんを元気づける役目を最後まではたして頂きました。「これからは、自分自身の復興です。」この言葉を聞き、胸が熱くなりました。本当に今までありがとうございました。
月に1回開催しているこの連絡会議で、皆様にご報告していただいている事は、単純にまっすぐ進むことが難しい事が多々あります。比較的、利用者の仕事面については少し充実してきたようなお話を聞けることが、何よりの救いです。
今後も多方面の方々のお力添えを頂きながら、「今」の被災障害者就労支援事業所の声を届けたいと思っております。
次回の開催は、第十三回の開催予定は、6月25日(火) 13:30~ 場所:東松島コミュニティーセンター です。
【 参加予定】
宮城県内の障害者就労支援事業所
(特非)みやぎセルプ協働受注センター
詳しい内容についてのお問い合わせは、みやぎセルプ事務局(Tel:022-399-6299)までご連絡下さい。
ご興味がある企業の皆様からのお問い合わせもお待ちしております。