株式会社エフアシスト
宮西 晶さん 太田 亮さん 村上 喜恵美さん 村岡 航さん
社会福祉法人はらから福祉会 みお七ヶ浜
加藤 直己さん
官民応援団の各企業・団体の担当者に取り組み実施に当たっての経緯や、感想をお聞きする“応援団TIMES~担当者の声~”4回目は、株式会社エフアシストの宮西晶さん(写真左)、社会福祉法人はらから福祉会みお七ヶ浜の加藤直己さん(写真右)、
株式会社エフアシストの太田亮さん(写真右)、村岡航さん(写真左から2人目)、村上喜恵美さん(写真左)にお話を伺いました!
こういう世界があったんだと痛く感銘を受けた
――まず、障害者福祉的就労支援事業所(以降事業所)への発注の経緯を教えてください。
宮西さん
最初は、就労支援が目的ではありませんでした。弊社はプロテインの粉末を作っています。プロテインの充填は、大きい工場の機械で行うのが主流ですが、大きい工場で充填すると各味1トン以上ずつ作らなければならないなど、なるべく小ロットで作りたいという我々の思惑通りにはいかず、小ロットで充填してくれるところを探していました。そこでたまたまはらから福祉会さんと巡り合うことができ、事業所へ発注するきっかけになりました。発注していく中で、利用者さんの工賃の問題など、様々なことを知ることになり、こういう世界があったんだと弊社の代表が痛く感銘を受け、全面的にエフアシストとはらから福祉会さんがタッグを組んでプロテインを作っていこうという流れになりました。
――プロテインユーザーは、様々なプロテインの展開を求めているのですか?
宮西さん
プロテインユーザーから、「次の味ないの?」という声がたくさん上がってきます。その声に対して、「ありますよ!」という発信ができるので、そこで少量多品種でできていることに大きなメリットを感じています。手作業での仕事は、事業所の利用者さんのニーズにマッチしていて、相互利益の関係ができているのではないかと思います。
――はらから福祉会さんが、もともとお豆腐で成功されている事業所なので、衛生管理の部分に関してもゼロからのスタートではなかったですよね。
宮西さん
お豆腐で成功されていたので、食品に関してはど素人だった我々はアドバイスを受けながら、事業に取り組んでいきました。今では弊社に入った品質管理担当者の指導のもと、HACCPやJFSの認証を取っております。これからみお七ヶ浜だけでなく、他の事業所にもどんどん波及していきたいと思っております。
――プロテイン製造の作業内容を教えて下さい。
宮西さん
プロテイン粉末製品に関わる作業だと、計量、混合、充填、梱包する、この大きく4つになります。プロテインバーの製造については、計量、生地作成、型枠へ入れ込み、焼成、梱包の大きく5つになります。また、プロテイン製品に付随するシール貼りや、完成品にチラシを入れたり、袋詰めするなどといった作業も大きな仕事になっているのではないかと思います。
利用者さんの特性は、事業所の職員の方が把握されている
――事業所と一緒に仕事をするうえで工夫したことはありますか。
宮西さん
担当職員の方との綿密な打ち合わせがとても大事だと感じています。利用者さんの特性は、事業所の職員の方が把握されているので、利用者さんの配置の工夫など、よく考えて日々業務をこなしてくださっていると感じています。また、スプレッドシートやエクセルなどのデジタルツールを使って共有するように工夫もしています。誰もがわかりやすい形で作業できるよう、日々アップデートしながらやっています。
太田さん
綿密な打ち合わせ内容として、利用者さんごとに、例えばプロテインをすくうスコップはどういう形のものがいいのか話し合ったりしています。一つ包材をとっても利用者さんがきちんと開けられる規格になっているのかといったところまでフォローしないと、作業が滞ってしまいます。事業所の皆さんはしっかり計画を立てて業務に取り組んでくださっているので、日々の業務がスムーズに行えるよう様々な面でフォローを心掛けています。最近では、1袋20キロのものを運びやすくするためにキャスター付きの運ぶ道具を作ったり、1袋100gの粉を20キロ分開けなければならないとなったときに原料自体を弊社の品番で作り袋を開ける手間を省いて効率化を図るなど行いました。
――事業所と仕事をする中で苦労したことがあれば教えてください。
宮西さん
我々、一般企業の仕事としては納期によってかなり左右される部分があるのですが、事業所さん側は利用者さんの体調に合わせての作業になることが多いので、そこで我々が求める部分と現場ができる実状というのが乖離することがたまにあります。そこを埋め合わせしていくのが、我々の使命でもあると思うのですが、納期と現場の状況というのが若干変わってくるというのは感じる部分はあります。そのようなことが起きないように事前に各事業所と綿密な打ち合わせをしていければと思っているのですが、突発的に製造してほしいとオファーもあったりするので、そこは苦労する部分があるかなと思います。
この人たちのために仕事をとっていきたいなという気持ちになりました
――事業所と一緒に仕事をしてどのような感想をお持ちになりましたか。
宮西さん
食品の取り扱いをするので、やはり衛生管理、品質管理というのは注意徹底してもらいたいなという気持ちがとてもありました。ただ、そこに関しては、はらからさんはもともと食品もやっていたところだったため、HACCPの取得を2022年の夏にできたのが大きいです。社会福祉法人で取得するというのはなかなかハードルが高いところなのですが、職員の方々に取り組んでいただいて、取得できたというのが大きなことだと思っています。社会福祉法人だから衛生品質管理どうなのかなという部分に関しては全く払拭されて、一般工場に負けないぐらい品質管理できているなと思っています。あと、利用者さんがどんどん仕事をすることで生きがいに感じてくれているというのを感じたり、そういう声を聞いたりするので、どんどんまた仕事を回してあげたいなという気持ちになります。
村岡さん
エフアシストに入るまでは、事業所についてあまり知らず、事業所の障害当事者の方が大人の世代になった時に、どうしているか正直わからなかったのですが、プロテイン製造で一緒に仕事させていただく中で、すごくみんないきいきとしている姿が私的にはとても衝撃的でした。こうやって障害者の方々が活躍できている場に私も関われて嬉しいなと思います。
太田さん
利用者さんと深く接する中で、この人たちのために仕事をとっていきたいなという気持ちになりました。利用者さんと接してみて、健常者の方と比べたとき、勝っている能力は間違いなくあるなという点に気づきました。勝っている能力が少なかったり、人と違ったりするだけで、優れている部分があり、実際に消費者の方々に届く製品を作れているので、その能力を活かせる仕事をとってきたいと思いました。
村上さん
障害当事者の方が大人になった時の障害者年金と工賃を合わせて、一人でも自立して生活できるようにというはらから福祉会さんの理念に共感できました。事業として一貫性を持って継続的にやろうとしている部分にとても衝撃を受けました。一緒に仕事をしている中で、こういう世界もあるんだなっていうところで結構刺激を受けたところがあります。
――今後やりたいことなどあれば教えてください。
宮西さん
プロテイン製造に関わる全事業所の衛生管理、品質管理を、今以上に徹底してサポートしていきたいと思っています。HACCP認証やJFS認証を全事業所に広めていきたいです。
村上さん
書類のデジタル化を進めたいと思っています。紙での書類管理では職員さんの負担が大きくなり、本来の業務に時間を割けなくなってしまいます。そのため、在庫管理や関連業務もすべて一元管理できるシステムを導入し、活用したいと考えています。
――プロテインの今後の展開について、考えていることがあれば教えてください。
宮西さん
現在は「THEプロテイン」という感じですが、今後は一般向けの高たんぱく食品を目指していきたいと思っています。粉末だけでなく、さまざまな一般食品向けの製品を展開できたらと考えています。プロテインはアスリートが飲むイメージが強かったですが、最近では女性の美容向けや、ビタミン・ミネラルなどが豊富に含まれた完全栄養食のようなプロテインも人気があります。このような形で一般市場に浸透していくのではないかと思います。
株式会社エフアシスト 概要
商号 | 株式会社エフアシスト |
創業 | 2007年 |
資本金 | 5,000,000円 |
代表者 | 代表取締役 藤倉修一 |
事業内容 | サプリメントの発明、製造、販売及び卸売業 スポーツ及びサプリメント全般に関するアドバイザー業 |
従業員数 | 19名(契約社員、パート含む) |
所沿地 | 〒984-0011宮城県仙台市若林区保春院前丁6-6 |
株式会社エフアシストとプロテイン作業に取り組んでいる、社会福祉法人はらから福祉会 みお七ヶ浜の加藤直己さんにもお話を聞かせていただきました。
――現在、事業所で主に行われている作業を教えてください。
加藤さん
プロテインの混合、充填、出荷作業の3つに分かれています。
――プロテイン製造を始めて5年経った感想を聞かせてください。
加藤さん
一般企業と提携し、福祉にはない力を様々な面で感じました。今は、エフアシストさんが営業を担当し、事業所は製造に特化しているので、とてもありがたいです。私もプロテイン製造を始める前は管理者兼営業をしていましたが、今では常に利用者さんと一緒に製造に携わることができ、とても良かったと思います。また、プロテイン製造は基本的な製造工程があり、それを応用して各商品(味)をつくる工程が利用者さんにとても合っていると感じています。混合班、加工班、出荷班に分かれており、加工班の中でもチームを3つに分けて取り組むことで、障害の重さに関係なく一緒に作業ができ、作業をより単純化できました。単純化することで作業効率も上がり、利用者さんの工賃アップにつなげられると思っています。
――今、作業されている利用者さんの反応はどうですか?
加藤さん
「もっと仕事をくれ」と言われます。朝、事業所に来てから帰るまでずっと作業をしてもらっていますが、やればやる分だけ工賃をもらえることがわかっている方は、どんどん仕事を求めてきます。はらから福祉会は、所得保障を常に掲げており、私が最初に七ヶ浜に来たときは時給約250円でしたが、5年かけて今は時給600円まで上げることができました。
――事業所の職員として、皆さんに知っていただきたいことはありますか。
加藤さん
はらからの理念にある「障害があっても働くことを生活の柱にする」ということを伝えたいです。どんなに障害が重くても、働きたい、働いて得た給料で自分らしい生活を送りたいという障害当事者の願いに応えることを、はらから福祉会は目標にしています。