避難所から避難してきた障害者

写真:左が安子さん、右が多田さん

お話:社会福祉法人 石巻祥心会 障害福祉サービス事業所 くじらのしっぽ
利用者 小川絢子さん(女性/当時29歳・知的障害)
管理者 阿部かよ子さん 職員:多田剛優さん
グループホーム くじらのしっぽ ひまわり 生活支援員 阿部安子さん

自分も避難してきて弱ってるのに、ちょっと弱い人たちに手を差し伸べることっていうのは難しい。

多田さん:自分は震災時、(石巻)駅前の障害者相談所にいたんですけども。震災後、仕事で回ってるときに、あるご家庭に行ったんです。一階はもう(津波被害で)何もなくて、二階で重心(重度心身障害)の方が、生活してたんですよね。
それで、その方の親御さんと話した時、(発災時)最初、学校が近くにあるから避難したらしいんです。でも、その日の夜に(避難所に)居れなくなって、車の中でずっと過ごしてたそうなんです。重心の子なので、夜、(症状が出て)騒いだりしたことで、周りからの心無い言葉もあったみたいですよ。でも車の中だけじゃ厳しいとなって、一回家に戻ったそうなんです。そうしたら、下はだめだけど、二階に何とか上がれたから二階に上がったんだそうです。そういう話を聞いて、やっぱり人間は、ある程度のつらい状況下になると、この方は障害持ってるから大変だよねっていうよりもまず、うるさくて寝れねんだって言ってしまうのかな。

かよ子さん:そう、自分になってしまうのね。

多田さん:知らないって怖いって。ほんとにそういう意味なんだなって。

安子さん:でも、ほとんどがこれだと思うよね。

多田さん:だから、避難所に行けなかったっていう人がほんとにいっぱいいた。

かよ子さん:だから、そうやって非難されたり、何かわからない視線とか、何かわからない空気感で、その場(避難所など)にいられなくて、車に居ましたとか、家、いつ倒壊するかわからないけど、そこにしか居られないんですっていうのは、ほんっとにね、キツイだろうなー。

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