今後へ向けた備え

写真:⑨現在のさくら学園外観

お話:社会福祉法人 嶋福祉会 就労継続支援B型事業所 さくら学園
施設長(当時) 佐野篤さん

 あのような経験をした以上、よく千年に一度とか言われるけども、もう来ないんだとは誰も断言してはいけないだろうし。我々も経験した以上はあの時よりももっときちんと備えられたものを持って、利用者さん方を守っていくようなシステムの構築をきちんと準備しているべきでしょう。ですが実際の所はまだまだそれに対して備えきれていない部分もあります。それなりに大変な思いをしたと思っていますし、教訓にしていかなければいけないということですね。
 ただ反面、すべてのことにきちんと備えるとは一体どういうことなのかなと思ったりもします。
 さくら学園は、あれだけ海に近いと何かあった時に水を防ぐことはまずできないので、逃げるしかない。避難訓練を行う中では、年に一度は車が使えない想定で小学校まで皆で歩くというのを行っています。その時ばかりは、健脚じゃない方でもどこまで歩けるか、我々も把握しておく必要があると思っていますので。
 最初の年にはスーパーの入り口の所で疲れ果てていた方が、次の年には少し先の交差点まで行き、また次の年にはその坂の上までなんとか行けるようになり、4年かかってやっと小学校まで歩けたという方もいらっしゃいました。そうやって、どこまで歩けるかという力をきちんと計っておかないと、無理なことを言って却って事故に繋がるかもしれないので。
 どこまで備えたらいいかって本当にわからないんですけども、最低限、命を繋ぐためにどこまでは必要かっていうところは見えているので、そこについては避難訓練等で取り組んできたつもりではあります。

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